かけとり(その2)

お次は芝居好きの醤油屋さん。奥さん(意外と芸達者。芸は身を助ける)に三味線まで弾かせて、近江八景(この落語もいつか取り上げたい面白い噺)の歌で言いわけ。 「心、矢橋(やばせ)にはやれども、…元手のしろはつきはてて、膳所(ぜぜ、銭)は無し、貴殿に顔を…

かけとり(その1)

《今日が、ブログ開設以来150回目の書き込みにあたります。 だんだんずぼらになって、完全週休2日制になりつつありますが、行き当たりばったりで綴ってきた割には、思いの外早くこの日を迎えた気がします。 取りあえず書いてみたいことだけでも、おそら…

我が道を行くこと(その2)

ここまでは、通常は目の前の問題の所在がわかり、相手がある場合はその関連情報も何かしらある状況ですが、さらには、自分に矛先が向いていることすらわからない(ダモクレスの剣とやらもありましたね)場面が考えられます。 英語の諺にも、The absent perso…

我が道を行くこと(その1)

好むと好まざるとにかかわらず、行動や交渉を伴う場面で難しい(あるいは楽しくない)判断を余儀なくされる(これからどんな行動や駆け引きをしたらよいか決めなければならない)ことが、誰にもあると思います。 そんなときはまず、自分にコントロールできる…

刀屋(その2)

徳「(親身な主人に少し打ち解け、実は山賊対策でなく、友達が奉公先のお嬢さんといい仲になって奥に知れて暇を出されと(なお嘘の)説明を始め、)…あろうことかあるまいことか、そのお嬢さんのところイ、今夜婿が来るってン。冗談じゃない!」 主「(裏切…

刀屋(その1)

刀屋の主人(かなりの年輩)が血気に逸る若い客を宥めるくだりが噺の中心ですが、なんといっても主人の語りに味があり、「こんな年寄りが身近にいればいいのになぁ」と思えるほどです。 奉公先のお嬢さんと恋仲になったのが明るみに出て暇を出され、さらには…

印象に残ったところ[滞在記&旅行記(その4)]

北海道の巻・続きです。 【上川】 ○層雲峡…冬に2回行ったことがありますが、1回目は初雪が思いがけぬ豪雪になり、層雲峡の近くの宿に閉じ込められた形になり(交通機関も一部不通)、間近にいながら何も観ないでやむなく引き返しました。 2回目はそれから2…

印象に残ったところ[滞在記&旅行記(その3)]

マーは、転勤族で(8都府県に在住)出張も多かったことや学生時代の貧乏旅行(東北・四国・九州を主にユースホステル・国民宿舎泊で周遊)などもあり、40歳過ぎに全都道府県滞在を果たしました(達成は出張での沖縄日帰りで、感動は今一つでしたが)。 そ…

働くことと動くことについて(その3)

職場でせめて気持ちだけでも役に立とうという気持ちになるかどうか、やり甲斐を感じられるかどうかは、会社の側の配慮も影響するようです。 勤務態度に、公平なルール(関係者の意見の反映や分け隔てない評価姿勢など)と成果主義的な評価(責任の重さや業績…

働くことと動くことについて(その2)

「(スタッフの動きが)役に立っているかどうか」の判断は、たとえば、受けたいサービスがはっきりしているお客さんの立場からみればわかりやすいはずですが、会社など組織の中で社員一人一人についてみる場合、必ずしも簡単でなく、これが処遇と連動すると…

働くことと動くことについて(その1)

職場や立ち寄った店、あるいは何かの催しその他諸々の場で目にしますが、スタッフの中で、動きの良い人と鈍い人、同じ動きでも、それらに無駄のない人とただウロウロしている感じの人、サボっているように見えてポイントを押さえた行動をする人と労働時間は…

お見立て(その2)

ところで、嘘をつく際、大脳皮質のうち、判断や情動に関連する前頭前域や帯状回が活動するなど、本当の話をするとき以上に脳が活発に働くそうです。 嘘は辻褄合わせの技を伴いますから、正直にありのまま話すよりも高次の精神活動といえます。 最新のfMRI(機…

お見立て(その1)

登場人物は3人。我儘で頼み上手な花魁・喜瀬川、頼まれると断れないお人好しながら、お客と花魁の間を取り持つ「仲どん」が務めの喜助、それにどこか間の抜けた武骨な馴染み客。 夫婦約束までしたのに、登楼した相手が死ぬほど嫌いだという花魁の意を受け、…

過去をふりかえることについて(その2)

過去をふりかえることの意義について一律の答はないように思います。 「歴史に学ぶべし」という向きもありますが、生活上の知恵を除けば、自らのこれまでに学ぶべきものが果たしてどれほどあるのか。 学ぶ対象と自分との距離が保たれて初めて冷静に参考材料…

過去をふりかえることについて(その1)

幼少時(大概はデフォルメされていますが)の夢を見ることは時々ありますよね。 たまにそんな夢を見てふと目が覚めると、その当時から今までのことを脈絡なく思い出している自分に気がつくことがあります(そのまま寝付けないことも)。 床の中でぼんやりし…

看板の一(その2)

サイコロ賭博に興じている若い連中が近所のご隠居を引っ張り込む。 半ば強引に参加させられたこのおやっさんは、胴元を引き受け、惚けを装って壺皿からわざと1の目のサイコロを外へこぼして見せ、みんなにピン(1の目)を張らせておいて、一転そのこぼれた…

看板の一(その1)

落語には、誰かがうまくいったり、いい思いをしたりするのを垣間見る、あるいは感心するような話を聞かされたときに、そっくり真似をして自分も満足しようとする人の話がよく出て来ます。 『時そば』、『佃祭』のように、傍から見たり聞いたりしたことの真似…

「忙しい」について(その2)

さらには、複数の人から職場で「忙しくてトイレに行く時間もありません」という訴えを聞いたこともあります。 「どんなに忙しくとも、非常事態の方を先に解決したら」と思うのですが、ほんの数分のゆとりもないという強調表現なのでしょうか。 仕事や課題の…

「忙しい」について(その1)

立秋を過ぎました。残暑御見舞申し上げます。 先日、テレビで「立秋なのに猛暑」というような字幕が出ていましたが、毎年今頃は特別暑いのではないでしょうか。それにしても今年は異常気象みたいですが。 このあいだ、品川よしもとプリンスシアターでお笑い…

絵画の見方について(その2)

まず、はじめは「ブヴィエの壺」です。 謎解きのような話ですが、オルセー美術館所蔵の名画≪パティニョル街のアトリエ≫(ファンタン作、マネ、モネ、ルノワール、ゾラなど有名な芸術家が揃い踏み)の脇に描かれた陶芸家のブヴィエによる壺が、「西洋の伝統」…

絵画の見方について(その1)

絵画展に行くと、勢い話題の作品に人が集まります。 ルーブル美術館のダ・ヴィンチ『モナリザ』を展示してある展示室には、真向かいに大作『カナの婚宴』(ヴェロネーゼ作)があるにもかかわらず、『モナリザ』周辺だけ人が集まり、そのまま次の部屋へ移動す…

こんな本おもしろかったです(その16)

印象派の誕生―マネとモネ (中公新書)吉川 節子中央公論新社発売日:2010-04ブクログでレビューを見る»幅広い文献を渉猟し、印象派誕生に関わった魅力的な人々を丁寧に描いています。全体に著者は頭で絵を観る人のようで、絵の中の人物や調度についてそれぞれ…

浅草散策

親切な方のお声かけで、久々に浅草寺に行って来ました。 驚いたのは、外国人の多さ。中国語、英語、フランス語が飛び交い、さながら異国のよう。観音堂に参拝する人の構成も半分近くが外国人。 特に中国人ツアー客が目立ちました。先日銀座を歩いた時も、中…

みんながそうだから(その2)

このあいだ森毅先生による「やたら『みんなこうするもんや』とか『誰でもこうしてるんや』と物事を単純に断定したがる『おじさん化』」のことを取り上げましたが、「みんながそうだから、自分もそうしよう」という傾向は根強いと思われます。ここでの「みん…

みんながそうだから(その1)

どうしたらよいかわからなくなったとき、よく使うやり方の一つは、今自分がぶつかっていることと似たようなケース(他の人はどうしたか)を探すことでしょう。マーは手術を受けて以来、同じ病気に罹った人の例や闘病記を幾度となく調べました。 病気に限らず…

薮入り

柳家小三治で何度か聞きました。 30歳過ぎたニート、フリーターが社会問題となっている今とは別世界、10歳になるとすぐ奉公に出された時代の話。 年に1月と7月の1日ずつ、たった2日だけあった休みに家に帰るのが薮入り。 初めての薮入りで帰ってくる…

何をしたいかわからない(その2)

「何をしたいか」で進路を決めるのが容易でない以上、「何をしたいかわからなくとも行動はできる」のだから、期限を定めて割り切って一種の見切り発車をすることも大切なのでは。 「生きがいがない、となげく人は、自分の主観的な感じにとらわれすぎているの…

何をしたいかわからない(その1)

学生や若い人に「将来何をしたい?」と尋ねてみても要領を得ないことが少なくありません。 幼児に同じ質問をして「大人になりたい」とか「ウルトラマンになりたい」など答えが返ってくると思わず微笑してしまいますが、そろそろ学生も終わりとか、とっくに卒…

幼児には文脈がない(その2)

愚息が電車の座席に座っているとき(2歳の頃)、こんな発話もありました。 (車中から停車中の他の電車を見て)「電車、ネンネ」 (後ろの座席振り返り)「おじさん、ネンネ」 電車は彼の中ではおじさん同様、生き物だったみたいです。 このように事物に人…

幼児には文脈がない(その1)

「盛岡のおっちゃん」さんのコメントにある、雪の中でも半ズボンの中学生のエピソードに触れて、子ども(ここでは、むしろ中学生よりも幼児の話題)のおかしさを取り上げてみたくなりました。 小さい子どもはお笑いの名人です。笑わせるというねらいなしに可…