「忙しい」について(その1)

立秋を過ぎました。残暑御見舞申し上げます。
先日、テレビで「立秋なのに猛暑」というような字幕が出ていましたが、毎年今頃は特別暑いのではないでしょうか。それにしても今年は異常気象みたいですが。


このあいだ、品川よしもとプリンスシアターでお笑いを観てきました。
ここは、同じ建物に水族館あり、ボウリング場ありで家族でも結構楽しめます。
吉本の方は、会場の真ん中の席がゴソッと空席で、他はほぼ満員という妙な会場の埋まり方(出演者は口々に「ドーナツ化現象」と嘆いていました。演ずる側からすると観客席の中央が空いているのはとてもやりにくいそうです。)でしたが、水族館・ボウリングは盛況でした。
プリンスシアターで桂三枝師匠は「皆さんお忙しいところお運びくださいまして誠にありがとうございます。もっとも、本当に忙しい方はここにいらっしゃらないと思いますが…」と切り出し笑いを誘っていました。


ところで、「忙しい」は、おもしろい言葉だと思います。
御礼状をはじめ、ちょっとした挨拶文には「先日は、ご多忙中…」がお決まりの文言としてしょっちゅう登場します。
少し改まった形で人に会う時も「このたびはお忙しいところ、お時間を頂戴して…」と断るのがよくあるパターン。
このように定型的で、しかも頻出用語ゆえ、相手や状況に関わらず「忙しい」が安易に用いられる傾向があるみたいです。たとえば、たまたま不本意にも閑職に就いている方に「お忙しいところ…」と話しかけると、場合によっては嫌味に響くかもしれません。
それから、「忙しくてもう大変!」と泣き言を連ねる人を暫し観察していると、どこが忙しいのかよくわからないという光景に接することも少なくありません。