2010-03-01から1ヶ月間の記事一覧

あすの俺は、今日のオレより進化する(その1)

先日、エスカレーターでいかにもボクシングジムの練習生風の体格のよい男がボロボロになった『ボックス!』(百田尚樹著)を読んでいるのに出交わしました。読み始めると物語の中に入り込んでしまう力を秘めた作品だと思います。 自分でもよくわからないのです…

こんな本おもしろかったです(その10)

ボックス!百田 尚樹太田出版発売日:2008-06-19ブクログでレビューを見る»自分では支えきれないほどの、それでいてその道のプロだけが見抜くことができる隠れた才能と、その持ち主が目指す果てしない高み−『ヒカルの碁』や『バッテリー』にも同質のものを感…

真の阪神ファン(その2)

阪神は勝ち方・負け方が派手です。記録的な大量得点をした翌日に完封負けを喫したり、初回に試合を決めるほどのリードを奪いながら結局逆転負けしたり。 1回に8点を取って結果は8対9で負けた試合もあった気がします。安心してしばらくTVを消してから「…

真の阪神ファン(その1)

プロ野球ペナントレース開幕。幼児期の記憶はあやふやですが、ご多分に漏れず一応「巨人・大鵬・卵焼き」だったと思います。 物心ついてから阪神ファンの父親、それに毎朝7時からのラジオ番組(阪神が勝った翌朝は「六甲おろし」で始まるトラキチ番組。パー…

愛宕山(その2)

注意を傾けたものとそれ以外とがその人の中でどのように区分けされるかを探る考え方の例として、雑踏の中でも注意を向けている人の会話をかなり聞き取ることができる「カクテルパーティ効果」という現象があります。 この場合、周囲のざわざわした音はうまい…

愛宕山(その1)

お花見情報が本格化してきたので、取りあえずブログデザインもそれらしく替えてみました。春先の噺というと愛宕山なぞどうでしょう。 これは志ん朝さんの高座が耳に残っています。クライマックスは、土器(かわらけ)投げの土器の代わりに、若旦那が小判を投げ…

ちょっと一休み

このブログを始めてから今日でちょうど7週間。コメントをくださる方のお陰もあり、一日も休まず更新という、ぼんやりストには少々相応しくないハイペースでここまで来ることができました。 このあたりで、少し一服します。再開予定は3/27(土)。できれば…

生きている時間の使い方(その2)

時間が資源と異なるのは、将来に備えて貯めておくことができないところ。もう一つは、モノでない分、未来の時間や予定について、今から思い描いたり楽しみにしてワクワクできる要素のあるところ。 時間は帰って来ない反面、未来を仮想しての今と、実際に過ご…

生きている時間の使い方(その1)

あまり流行らない言葉ながら、TOTAL TIME FUNDという考え方があります。随分前に経済企画庁のレポートで社会生活基本調査を分析した際に使われた言葉のようです。 年齢階層ごとの年間生活時間配分を分析したもので、各年齢層の人数×1日当たり…

日本酒のお話再び

NHKテレビの『プロフェッショナル 仕事の流儀』前回は、杜氏の方でした。農口というお名前どおり、米や、発酵の過程でバランスを取るのが難しい麹菌・酵母菌と対話できる達人でした(聞き手の住吉美紀さんがブログで「猛獣使いならぬ、猛菌使い」と表現し…

待つこと(寝かせておくこと)も大切

「待てば海路(甘露)の日和あり」という言葉があります。 学校や職場では、宿題提出の期限や製品の納期などに追われることが多く、「待っていたら叱られる」場面ばかりのようにも思えます。 でも立ち止まることを忘れてしまったら、自分を見失ったり、出るは…

こんな本おもしろかったです(その9)

こころの旅 (神谷美恵子コレクション)神谷 美恵子みすず書房発売日:2005-01ブクログでレビューを見る»神谷美恵子著作集は、自伝・日記・ヴァジニア・ウルフの病跡研究以外は、学生時代にほぼ読んでいます。神谷美恵子の読者は、多少なりとも人生の意味に関…

「大勢いると一人一人はサボりやすい」理論・続き

先日、社会的手抜き(Social Loafing)の話題を取り上げましたが、下の本では、「仕事場面でのチームワークや集団行動がともすると個人単位では無責任に傾きやすい」として、神戸大の金井先生(経営学・キャリア論)が50年も前のキティ・ジェノヴィーズ事件を…

こんな本おもしろかったです(その8)

型破りのコーチング (PHP新書)平尾 誠二,金井 壽宏PHP研究所発売日:2009-12-16ブクログでレビューを見る»対談だけにあっさりした議論が主体ですが、題名どおり「型にとらわれない」発想のヒントが随所にみられます。セオリー以上に大切な状況判断、無責任に…

『抜け雀』と『ねずみ』(その2)

多くの人は、いずれの噺でも、主人の人柄もあって、流行らなかったボロ宿に親近感を抱くのではないでしょうか。 評判が頗るいいのに、辛酸を嘗める主人は落語に割と出てくるようです。たとえば『帯久』の呉服屋和泉屋与兵衛など。 さらに両話では、外見から…

『抜け雀』と『ねずみ』(その1)

全く別のお話ですが、名人の作品に命が宿って動き出すという共通点があるので合わせて取り上げます。 『抜け雀』は、無銭逗留の客が宿代代わりに障子に描いた雀が、絵から抜け出したり戻ったりし、お人好しで損ばかりしていた主人のその宿に泊り客が殺到し、…

西ニツカレタ疲レタ母アレバ…(その2)

見知らぬ人に手を差し伸べることは、国際的にも日本人は少ないという見方があり、英米人と日本人の行動様式の違いに触れている本(『一歩すすんだ英会話』講談社現代新書、東後勝明著)にも「どうも我々(日本人)の心底には知らない人にはかかわり合いたくない…

西ニツカレタ疲レタ母アレバ…(その1)

朝の通勤で、鉄道ダイヤが全く乱れない1週間はないような気がします。ポイントや信号機故障の他、車内の急病人発生、ホームに人が入った(眩暈で倒れたり、自殺だったり)など。最近は鉄男や鉄子(鉄道マニアのことをそう呼ぶとか。)が写真を撮ろうと命知らず…

男の料理(その3)

《すき焼き(煮込みうどん)》 大阪出身のマーにとっては、「すき焼きは焼くもの」ですが、関東では「煮るもの」ですね。個人的には、材料を前に食べたいものをその都度鉄鍋に入れて火が通ったらすぐに口にするのが一番美味しいと思いますが、以下のレシピは、…

絵画の見方

美術展ではおもしろい鑑賞の仕方をする人に時々出会います。ピカソ展で「この絵、下手やねえ」と大声で評価したり、「これがピカソの絵、ふーん、ピカソやねえ」とよくわからない感想を述べたり。いずれも大阪のおばちゃんでした。 下の本(今のところ10巻…

こんな本おもしろかったです(その7)

レオナルドの謎 (イメージの森のなかへ)利倉 隆二玄社発売日:2008-02-20ブクログでレビューを見る»一昨年〜昨年にかけて10巻発行されているシリーズ。名画でも知らないことやつい見過ごしてしまう点がたくさんあることに気づかせてくれます。『モナ・リザ…

宿替え(粗忽の釘) (その2)

その後、しっかり者の奥さんは片付け・近所の挨拶回りも終えて新居にやって来ますが、とっくに出たはずの夫が未着。 小三治は、夫の言い訳を、犬の喧嘩見物⇒蕎麦屋の自転車とニアミス⇒よけた自転車が卵屋の店先に突っ込み大騒ぎ⇒交番へと寄り道としました。…

宿替え(粗忽の釘) (その1)

「そそっかしい」が主題ですが、面白さは、むしろ「しっかり者の奥さんと口では負ける夫(主人公)との掛け合い」、「目の前のことだけ一所懸命になるあまり滑稽なことを繰り返す主人公」の部分でしょうか。小三治と枝雀の口演で何回か聞きましたが、それぞ…

そっと見守ってあげたい(その2)

「選手が期待の重さに押しつぶされる」現象については、多くの心理学者による研究があり、もっともらしい説明がなされてきました。キーワードは、目覚めの水準(ここでは「からだに感じるプレッシャーの大きさ」くらいの意味)、遂行(パフォーマンス)、課題…

そっと見守ってあげたい(その1)

バンクーバー冬季五輪も終わりました。日本選手活躍しましたね。フィギュアスケート女子のキムvs浅田は、昼食をとっていたレストランで知らないおじさん同士が「これからだ。キム選手はミスがなく本当に強い。真央ちゃんも大変だな」など、我が子のように心…

我が家のジンクス

我が家には「愛好しているものが姿を消す」という哀しいジンクスがあります。とは言っても、多くは食いしん坊の妻の贔屓にしていた店や商品が、閉店したり製造中止になったりの類ですが、不思議と言えば不思議。普段意識していませんがマイナー志向なのかな…