2010-09-01から1ヶ月間の記事一覧

堪忍袋(その1)

『厩火事』、『口合小町』同様、喧嘩の絶えない夫婦が登場。 喧嘩の仲裁に入った大家さん、次のような中国の故事を引いて、笑い合ったところを見たことがないこの夫婦を諭します。 「(あなたたち夫婦と大違いで)人前でいつもにこやかな笑みをたたえた人が…

狸の賽

鶴の恩返しならぬ狸の恩返しの噺。 ただ、こちらはサイコロ賭博の手伝いで、いわゆる「公序良俗」には反しますが… 浦島太郎に出てくる亀のように、子供たちに苛められていたところを助けてくれた男に恩返しするため、男の家に、まだ幼いその狸がやってきます…

翻訳(翻案)のすすめ(その3)

≪あちろうさん、「吉兆味ばなし」のご紹介ありがとうございます。ぜひ読んでみようと思います。 「味が若干からそう」とのことですが、マーが料理をする際の基本は「あまり味をつけない」ことです。 多くのレシピどおり先にしっかり濃い(辛い)味付けをして…

翻訳(翻案)のすすめ(その2)

研究でも実務でも、その分野で使われている主要な考え方の源がほとんど輸入物ということは少なくありません。 分野によっては、その輸入品そのものやトリセツを一言一句違わず再現することが最重要ということもあるでしょう。 でも、一部の専門家や研究者を…

翻訳(翻案)のすすめ(その1)

外国語の翻訳のこと(私のレベルでは翻案(超訳?)がせいぜい)はいつか書いてみたいと思いますが、今日はそうではなくて「読んだこと聞いたことを自分の言葉に置き直す」という話題です。 先日、仕事で文献購読のクラスに立ち会いました。 同じテキストを…

文違い(その2)

次に、お金を無心していた方がやりとりの中でいつしか優位に立ち、貸し手がついには「頼むからこのお金を持って行ってください」とお願いする立場に陥ってしまうところ(前回取り上げた『かけとり』にも喧嘩好きの酒屋が、払いがないのに泣く泣く領収証を書…

文違い(その1)

騙しの連鎖というか、女郎が馴染み客を騙して用意した20円を、その女郎の間夫(まぶ・本命の客)が騙して受け取り、その男は自分で集めた30円と合せた50円を他の女に貢ぐという、お金が順々に流れていく図式の話です。 お金が流れていかず元に戻るパタ…

印象に残ったところ〔滞在記&旅行記(その6)〕

岡山県編の続きです。 【岡山】 ○後楽園…職場の近くでした。日本三名園の一つですが、マーは金沢の兼六園、水戸の偕楽園には入ったことがあるのに、後楽園は結局入園したことなし。 「近すぎると(いつでも行けると思うのか)案外行かない」ことってあります…

印象に残ったところ〔滞在記&旅行記(その5)〕

今回は初めて働いた土地、岡山です。水島臨海工業地帯のそばの社宅に住んでいました。 職場は岡山市内で、水島臨海鉄道という2両だけの電車で倉敷駅まで出てから通っていました。 地元の人の言葉でまずわからなかったのが「ぼっこう」。『ぼっこう寿司』と…

あわてない(その2)

かつて「頼んだ仕事はその日のうち(込み入ったものはその週のうち)に答の案を持ってくるように」という上司の元で働いたことがありますが、これは功罪相半ばだったかなと感じています。 よい面は、早く形にすることによって問題のポイントが見えやすくなっ…

あわてない(その1)

仕事の性格にもよりますが、速さがまず大切ということは多くの職場で当てはまりそうです。 品物の納期や約束事の期限のように「いつまでには必ず」のものはもちろん、成長株のビジネスや先端研究のように、競合他社やライバルより先手を打つことが求められる…

かけとり(その2)

お次は芝居好きの醤油屋さん。奥さん(意外と芸達者。芸は身を助ける)に三味線まで弾かせて、近江八景(この落語もいつか取り上げたい面白い噺)の歌で言いわけ。 「心、矢橋(やばせ)にはやれども、…元手のしろはつきはてて、膳所(ぜぜ、銭)は無し、貴殿に顔を…

かけとり(その1)

《今日が、ブログ開設以来150回目の書き込みにあたります。 だんだんずぼらになって、完全週休2日制になりつつありますが、行き当たりばったりで綴ってきた割には、思いの外早くこの日を迎えた気がします。 取りあえず書いてみたいことだけでも、おそら…

我が道を行くこと(その2)

ここまでは、通常は目の前の問題の所在がわかり、相手がある場合はその関連情報も何かしらある状況ですが、さらには、自分に矛先が向いていることすらわからない(ダモクレスの剣とやらもありましたね)場面が考えられます。 英語の諺にも、The absent perso…

我が道を行くこと(その1)

好むと好まざるとにかかわらず、行動や交渉を伴う場面で難しい(あるいは楽しくない)判断を余儀なくされる(これからどんな行動や駆け引きをしたらよいか決めなければならない)ことが、誰にもあると思います。 そんなときはまず、自分にコントロールできる…

刀屋(その2)

徳「(親身な主人に少し打ち解け、実は山賊対策でなく、友達が奉公先のお嬢さんといい仲になって奥に知れて暇を出されと(なお嘘の)説明を始め、)…あろうことかあるまいことか、そのお嬢さんのところイ、今夜婿が来るってン。冗談じゃない!」 主「(裏切…

刀屋(その1)

刀屋の主人(かなりの年輩)が血気に逸る若い客を宥めるくだりが噺の中心ですが、なんといっても主人の語りに味があり、「こんな年寄りが身近にいればいいのになぁ」と思えるほどです。 奉公先のお嬢さんと恋仲になったのが明るみに出て暇を出され、さらには…