西ニツカレタ疲レタ母アレバ…(その1)

朝の通勤で、鉄道ダイヤが全く乱れない1週間はないような気がします。ポイントや信号機故障の他、車内の急病人発生、ホームに人が入った(眩暈で倒れたり、自殺だったり)など。最近は鉄男や鉄子(鉄道マニアのことをそう呼ぶとか。)が写真を撮ろうと命知らずの行為に及ぶ例もあるそうです。
ところで、先月、奇跡の救助のニュースがありました。次のようなものです。
「中央線の上りホームから線路に転落した女性を目撃した20代の男性が線路に飛び降り、助けようとしたが全く反応がなく、電車が女性の倒れていた場所まで約100メートルに迫ったので、とっさに女性を仰向けにすると、間一髪でホーム下の避難スペース(高さ約1メートル、奥行き約60センチ)に逃れた。4両目が女性の上を通過して停止。女性は車体と枕木のすき間(約30センチ)にいて奇跡的に助かった」(朝日新聞2/17朝刊記事参照)。
この方は「気づいたら体が勝手に動いていた」とのこと。社会福祉の仕事をされている、元大学ラグビーの選手だったそうで、命の危険に晒されている人を見てごく自然に行動された(体が反応した)のかもしれません。でも、これはなかなか出来ないことです。
もし、自分の近しい人が電車が迫り来るホームに飛び降りて赤の他人を助けようとしたら、その時になってみないとわかりませんが、ひょっとしたら止めるかもしれない。それでは自分が行動するかといえば、このような場面では恐怖で足がすくんで何も出来ない気もします。これも、実際その場に居合わせてみないと何ともいえませんが。
このようなニュースに接すると、「よくやったなぁ。無事で本当によかった」と素直に思います。ところが、万一、同じような行動をして助けに入った人まで遭難事故の巻き添えになったらどうでしょうか。愛他精神や勇気は素晴らしいものの、結果的に犠牲者が増えてしまって、これでよかったのか、近親者ならあまりの無念に打ちひしがれることになるでしょう。何が正しいかは運命に委ねられている気がしてなりません。