翻訳(翻案)のすすめ(その1)

外国語の翻訳のこと(私のレベルでは翻案(超訳?)がせいぜい)はいつか書いてみたいと思いますが、今日はそうではなくて「読んだこと聞いたことを自分の言葉に置き直す」という話題です。
先日、仕事で文献購読のクラスに立ち会いました。
同じテキストを読んで各自でまとめ、発表するというものでした。
外国のエライ先生の学説についての解説部分がどの発表者も判で押したように同じ。
変だなと思ってもとのテキストをみると、おそらくは英語の専門書の中で引用された学説の孫引きで、むしろわからない方が普通。
ところが、みんな理解したふりをして、もとのテキストの表現を適当に拾うだけの説明になっていたのです。
コメントを求められた私は「みなさん、その部分、本当にわかりましたか?私は正直よくわかりませんでした」とまず尋ねてみました。
案の定「実はもとのテキストに書かれていること自体、よくわからなかった」と白状してくれました。
このクラスのねらいは、文献のうち指定部分のポイントを他の人にわかりやすく伝えるということにあったみたいですが、そうだとすると「理解不十分なところをわからないまま説明」して聞いている人がわかるはずもありません。
読み取る能力は、素質や経験の差がものをいうかもしれませんが、少々能力不足でも、自分なりの解釈をすることはできると思います。
ましてや勉強のクラスですから少々間違っていても大したことはありません。
曲がりなりにも読み解いた内容を自分の言葉で語り直すプロセスこそが、勉強になるのではないでしょうか。