幸福感について(その1)

最小不幸社会』という言葉もありましたが、同じ状況に置かれていても「幸福」か「不幸」かの感覚は人によって違います。
傍目から見て文句なしの環境なのに「自分ほど不幸な者はない」という物言いは結構ありそうです。
下の本では、ありがちなそのような人に浴びせかけられる言葉がいかにもそれらしい。たとえば次のように。
「あんたの言うマイナスって、だだプラスがねえってことじゃんか。それ、マイナスじゃねえよ。人生でもなんでも、…(中略)…プラスもねえしマイナスもねえのが普通じゃん。良いことがねえから不幸だって、それ、おかしくね?」(p.66)
「あのさ、実際カオリさんは賢くて能力あんのかもしんないけど、さっきから聞いてれば上手く行かねーのは全部他人の所為じゃん、能力発揮できる環境が与えられねーとか、才能認めてくれる人が居ねーとか。そういうのって、誰かが与えてくれるもん?(以下略)」(p.129)
しかも、この辛辣で本質を衝いた言葉は、いずれも「死ねばいいのに」という台詞の後に出てくるのですが、この意味のとらえ方にはかなり幅が生じそうです。