こんな本おもしろかったです(その15)

読み方としては無理があるのかもしれませんが、渡来健也は鹿島亜佐美の分身か霊魂のように感じます。
亜佐美が死後に健也の姿を借りて身近な(外目には酷い仕打ちを受けた人)人たちに会って廻り、彼らの中に自分がいる(いた)のかどうか確かめているかのような。
本のタイトルは衝撃的ですが、生きていながら、うまくいかないことはすべて他人や環境の所為にして、自分は専ら被害者の地位に甘んじている人は「本当に生きている意味があるのか」と問いかけているよう。
一方、出生から他者に縋って生きるよりほかなかった亜佐美にとっては、他者の中に自分がいなければ現世に自分の居場所はない。殺されたともいえるし、天に昇ったともいえるのではないか(そう考えると本当に亜佐美を殺したのは誰なのかわからなくなってしまいそう)と思いました。