エスカレーターの立つ側(その1)

 毎日乗るエスカレーターですが、東京のエスカレーターは東京駅をはじめ異様に長いところが少なくありません(たとえば麻布十番駅)。「左側に立って、急ぐ人は右側を歩く」方式が西では「右側立ち左側歩き」と逆になるのは、やはり不思議。
 これは、よく知られた現象ですが、「ではどこから反転するか」になるとなかなか奥が深く、朝日新聞(2008年5月25日の日曜版)によると、名古屋(東京方式)から京都(関西方式)の間という。私が実際に見聞したところでは、京都は駅によってはっきりしません。
 さらに詳しく調べた人もあって、実際に近畿周辺のJR東海道線の駅で途中下車を重ね、実験内容をブログで紹介されています。主な結果は以下のとおり(エスカレーターのどちら側に立つかで表示)。
 岐阜−左、滋賀−左寄り、奈良−右寄り、和歌山−右、三重−南西は右・北東は左、京都−市内は左、桂川は右、関西空港−左(「かんくう」は関東の乗客が多いことも一因)。また、東西でくっきり色分けされるのでなく、福岡は東京方式の左立ちとか。
(以上、 http://www.umasugi.com/~h070017/docs/escalator/ より)
 仙台は左と右が混在でした(不肖マーも、今月初め現地に旅行した際、確認)。
 エスカレーターの立ち位置調査は容易でなく、「歩行をやめようキャンペーン中」(日本エレベータ協会)らしいし、上の実験結果も駅で観察した傾向で、100%左右に分かれるわけではありません。また、ある程度乗降客のいる駅でないとサンプルが少なすぎるし、「エスカレーターを歩く習慣がない」とか「いつも真中に立つ」例すらあります。一方、大都市圏では通勤ラッシュ時は右・左の2列駆け上がりが普通でじっと立っている人の方が稀という駅も実際にあります。
 なぜエスカレーターの立ち位置に地域差があるのでしょう。多数説は、もともと「左側通行・追越は右側から」交通で左側立ち・右側歩き感覚が日本人の標準だったところ、1970年の大阪万博で右側通行文化の外国人が多数訪日した際、一部の駅で「お急ぎの方は左側へ」と案内したことに由来するとのことですが、半信半疑です。
 この説を敷衍すると、日本標準は左立ちで、大阪周辺の関西エリアが例外ということになりそうです。ついでながら、納豆の消費量も一見東高西低のようで、九州地域で消費が大阪周辺より多く、近畿及びその周辺が文化的に一部独立している観があります。