お客様は神様(?)(その1)

最近、ビジネスの世界で「顧客志向」という言葉を割と目にします。
商店のみならず、「お客様の目線に立って」とか現に、お客様という言葉を用いて対応(接客)する試みも珍しくなくなってきたようです。


でも、これは功罪相半ばかもしれません。ケースバイケースではありますが。
これで、社員の意識が変わり、サービス向上に役立った例はあるでしょう。
一方で、「お客様」が横柄になってクレーム多発という例もあるようです。
なぜなら、これまでのサービスの不備について、ただの「お客さん」が「お客様」に変わると要求水準が上がり、これまで「そんなものか」で済まされていたことが、「けしからん」になりかねないからです。


また、サービスを提供する側の気持ちの問題もあるでしょう。
いつもと同じ仕事で同じ待遇なのに、「明日から謙虚に誠心誠意〜〜しなさい」と言われても、「お客様」は心にもない社交辞令に過ぎず、その本音が相手に見透かされる(余計にクレームネタを増やす)ということはありそうなことです。


気のせいかもしれませんが、「市場原理主義」(「市場は誤らない」という考え方)が力を持つに連れて、このような「お客様の望むとおりやっていれば間違いない」という声が勢いを増したような気もします。
もっとも、三波春夫さんの「お客様は神様」を思えば人口に膾炙していた言葉ですが、あらゆる場面で「ユーザーに合わせましょう」という声が大きくなったのは割と最近のように思えます。