再びコミュニケーション能力について(その2)

コミュニケーションが説得や納得を伴う交渉場面に行われることもあるでしょう。
「相手を知る」ということが大切になります。
もっとも、出会い頭や行きずりのコミュニケーションもあり、こちらの方がより面白そうですが、研究も比較的少ないようで今後の研究(?)課題としたいと思います。
「相手を知る」ためには、ビジネス場面では、あらかじめ接触する先方の基本的属性を、事前勉強したうえで接すれば、円滑な対話の一助となります。


コミュニケーション場面を交渉の一種ととらえた場合、大体5とおりあるといわれています。
勝ち負けだけでいえば、『勝利』(当方の要求を押し通す)と『敗北』(相手の要求をのむ)があり、このほかに『妥協』(双方が譲歩)、『回避』(とにかく衝突を避ける)も想定されます。
残る一つは『協同』(双方が納得できるように、妥協するだけでなく新しい選択肢を考え出す)(以上、今井芳昭著『影響力』(光文社新書)を参照)。
日常場面における多くのコミュニケーションの目標は、この『協同』と思われます。


また、「相手方の正しい理解を促す」手法の例として、「反駁付き両面提示」、「社会的証明(Social Proof)」などがあります。
前者は、当方の言い分に対して納得していない相手の反論や言い訳を受けて、それらのポイントを整理して具体的な反駁資料を示しながら再度説明(説得)するやり方です。
要点は、相手の言い分を一旦誠実に受け止めるところであり、ここで頭ごなしに事業主の意向を無視した振る舞いをすると心理的リアクタンスが生じ、「聞く耳を持たない」、交渉決裂などの態度の効果につながりかねません。
後者は、「あなただけに無理難題をお願いしているのでない」という趣旨を具体的でわかりやすい類似例を示しながら徐々に了解を求めていく手法です。


採用選考時に求められるコミュニケーション能力は、ここまで書いて来てもやはり明らかになりませんでしたが、「相手の気持ちを尊重しつつ、こちらの真意も理解してもらえるという難しい技への適性」くらいに定義しておけば、一応わかった気になりそうです。
ただ、この場合の「相手」によっては、公式の枠に収まらないところが、興味深いところですネ。