ある展覧会の感想(その1)

阪神タイガースCSシリーズ敗退。日曜日(甲子園球場満員御礼)は、6回終了まで6−2だったのに終わってみると6−7。いかにも阪神らしい試合。
放蕩息子を勘当できない親、悪友と縁が切れない男や女に似た気分の(真の)阪神ファン。やはり来年も多くを期待せずに応援するんだろうなぁ(ヤレヤレ…)》


先週末、出光美術館(皇居前の帝国劇場隣)で開催されている、「仙がい−禅とユーモア」という展覧会を観て来ました。ビルの1フロアながら、ゆったりとしていて、9階からの眺めも素敵な心地よい空間でのひとときでした。

[展覧会案内のホームページ]
http://www.idemitsu.co.jp/museum/honkan/exhibition/present/point.html

http://www.idemitsu.co.jp/museum/collection/introduction/sengai.html


仙がいは、江戸時代後期の臨済宗妙心寺派の禅僧で、展覧会はその生誕260年記念。10歳で美濃清泰寺の僧侶となり、18歳で横浜保土ヶ谷・東輝庵に住する月船禅師に師事し、39歳からの22年間を筑前博多聖福寺の第123世住持として老朽化した伽藍の修復や弟子の育成にあたり、天保8年(1837)に88歳の生涯を閉じました。晩年は境内の虚白院(きょはくいん)に隠居し、禅画を通して庶民に禅の教えを広めたとのことです。



展示作品は絵画と書が中心でしたが、中でも布袋画賛(指月布袋画賛)のシリーズが秀逸。単純な線であっさりと描いてあるのですが、どことなく可笑しみがあり、絵の中の人物に躍動感があります。
全体的にパッと見は絵も文字も「下手うま」。たとえば、虎に至っては、稚拙な猫の絵にすら見えます。それでいて、拙い漫画にない、「もう一度見てみたい」ほんわかとした味わいがあり、不思議な作品群です。多くの絵には禅の公案などの書が添えてあり、少ない線で人や動物を一気に描き切ったと思われるものほど、嘘偽りがなく観る者に直接語りかけてくる感じがしました。


言葉も例外ではありませんが、禅画も装飾を取り払った単純なものほど力強かったり、印象に残りやすかったりするのかもしれません。