こんな本おもしろかったです(その4)

村山 由佳,はまの ゆか
発売日:2001-07-05

大人も子どもも読める稀有な小説の一つ。挿絵の淡い色合いが好きです。重いテーマで気持ちが内に向かいがちなところで気分転換に外の景色を見てはどうですかと促してくれるような、同時に本文を補完する心象風景の役割も備えたような絵です。
死の床に就いている友人との約束、タイムマシンづくりが柱のテーマですが、この本そのものが世代を超えてのメッセージを備えたタイムマシンともいえます。
「いっぺん起こってしまったことは二度と変えようがない。タイムマシンを持たない僕らに許されているのは、過去の上に今を、今の上に未来を積み重ねていくという地道な方法だけだ。後戻りはできない」−たとえ人知を超えた果たしえない約束ではあっても、約束を交わした相手を忘れずに営みを続けていく道なら残されている−それは人間を信じる道でもあると思うのです。