こんな本おもしろかったです(その3)

バンクーバーオリンピック間近。この本は表題からはわかりませんが、カナダもの短編集です。「バンクーバーの雪だるま」という話もいいですが、一番気に入ったのは「夜間飛行」。ネジづくりの小さな町工場を経営しながら倹しく暮らす夫婦の長年の夢がカナダ旅行。
納期に追われる地味な毎日の繰り返しでもこの夫婦は幸せそう。年をとる前から、ささやかでも二人で希望を共有することは忘れがちですがきっと大切なんだろうなぁ。
この本は内容を知らずに川上健一の新刊というだけで図書館で借りて読み始めました。そのとき丁度、親友の一人が、かつての留学先のカナダへ愛娘と旅行中と知り、時の巡り合わせの不思議を感じました。
「夜間飛行」というと私の場合、真っ先に思い浮かぶのは、その昔FMラジオの深夜放送で流れてきたジェットストリーム城達也の素敵な声です。オープニングのちょっと気取ったナレーション「遠い地平線が消えて深々とした夜の闇に心を休めるとき…」は30年経った今も諳んじることができます。
あのときボクは若かった〜♪