再びコミュニケーション能力について(その1)

報道によると、新規大卒の就職はこれまでで最も厳しいようです。
内定の早期化の行き過ぎを指摘する向きもあります。
ところで、以前にも少し触れましたが、日本経団連の調査(『新卒採用に関するアンケート調査』)によると、選考時に重視する要素として7年連続「コミュニケーション能力」が第一位となっています。
メークして応募用の写真を撮るのが女子学生のみならず男子学生に広がっているのまで、コミュニケーション能力を意識しているとは思えませんが、自分らしさをアピールしたいのでしょうね。
ところで、求められるコミュニケーション能力とは何でしょうか。 


コミュニケーション(communication)を辞書(Cambridge Advanced Learner’s Dictionary)で引いてみると、”to talk about your thoughts and feelings, and help other people to understand them ”(あなたの考えや感情について語り、他人がそれらを理解できるようにすること)とあるように、相手の方にこちらの主張をわかってもらうことが第一歩となるようです。


コミュニケーションには、隣の同僚から得意先等の見知らぬエライ人まで相手に幅があるし、どういった相手とのコミュニケーション能力が問われているのか、上の調査では必ずしもはっきりしません。
問題意識や、コミュニケーションの場面によっても大違いでしょうが、先方とのコミュニケーションを重ねる(場数を踏む)ことによってはじめて、説得力や交渉力を高め、相手方の理解や納得につながる姿勢や対話能力を体得することができると思います(習うより慣れよ)。


素朴ながら、『単純接触効果』という理論があります。
接触回数を増やせば相手に対する魅力が高まるというもの。
日頃ほとんど会話や付き合いのない人に突然働きかけても、多くの場合、こちらの期待を越えて対応してくれることは望み薄でしょう。
日常的にコミュニケーションを図る相手との連絡を密にしておくことがコミュニケーション円滑化の第一歩といえそうです。


また、先方の話題に努めて関心を持ち、対話の共通基盤づくりを図ることが必要と思われます。
関心の乏しい相手に胸襟を開く人はほとんどいないでしょうから(マーは20年ほど前、中小企業の経営者の方にヒアリングをする機会がかなりありましたが、当時「戦争」、「ゴルフ」、「犬」のいずれかに話題を持っていくと向こうから生き生きとした思い出話や最近のエピソードが披露され、その場が和んだ経験があります)。