試験について(その3)

センター試験に時期を合わせたはずもありませんが奇しくも、14日付けの米科学誌サイエンスにシカゴ大学の研究成果が発表されたそうです(YOMIURI ONLINE参照)。


数学のテスト前に緊張感を高めると普段より成績が下がる中で、テスト直前にテストへの不安な気持ちを率直な作文に綴ったグループでは成績が向上。
不安な気持ちはありのまま「怖い」、「間違えそうだ」などの表現で表されたそうです。


研究発表では、「書くことで心の傷が癒される心理療法」との関連が指摘されたとのことですが、「なぜ?」を想像してみると面白い。


まず、人前で発表、演技、演奏などする前に練習(コントや漫才なら「ネタ合わせ」)をするのに似た効果が考えられます。
記憶の課題なら事前の繰り返し(リハーサル)に相当します。
テスト場面で「あがる」ことをある程度事前に疑似体験したことが、パニックにならずに済む免疫(ワクチン)のような役割を果たしたのかも。


あるいは、「一息つく」効果もありそうです。
数学のテストの難易度がわかりませんが、難しめの課題は、中程度のあがり(覚醒)のときにパフォーマンスがよいとされている(ヤーキーズ=ドッドソンの法則による)ので、不安な気持ちを事前に綴ることがテスト場面で適度な緊張感をもたらした可能性あり。


もう一つは、テストに取り組む方略の中で、間違えそうな厄介な問題の存在が浮かんだことでは。
前回のマーの研究結果でも、テスト不安の低い人は問題を解く段取り上手の人が多い印象がありました。
事前にテストについて綴ることで、作戦を立てる雰囲気が自然と生じたのかもしれません。


こうして考えてみたところで、結局「なぜ?」の模範解答はわからず仕舞でしたが、想像を巡らせてみるのも悪くなかったような気がします。
それにしても試験について語り出すと広がりが出るものです。
いつか改めて取り上げてみたいと思います。