再び血液型性格診断について(その2)

その方はどうやら既婚の30歳台女性のようでした。漏れ聞こえてきた話は概ね次のようなもの。
「私はAB型で二面性があって、人付き合いが苦手。自分をストレートにうまく表現できない。第一、中途半端な性格が我ながら嫌でたまらない」
「B型だったらよかったのに。マイペースであっさりしていてコミュニケーション上手。私の友達もB型ばかり」
「自分の子どもはAB型は絶対嫌。だから配偶者はAB型が生まれないO型と決めていた。夫はもちろんO型」


まず、思ったのは、結構ストレートに自分を出しているなぁ(「友達はみなB型」、「結婚するなら絶対O型」など)ということです。
ご本人が定義するAB型らしくない。
それから、この方はどんな風に人と接して来たのかという素朴な疑問。
初対面の人にいちいち、「あなたの血液型は?」と尋ねたのだろうか。
相手に不快感や不信感を与えずに血液型を聞き出して来たのだとすれば、かなり人付き合いが巧みなのかも(これもご本人の定義と矛盾)。


何より、一人一人それぞれ持ち味があって長い付き合いでもなかなかひと言では表現しきれない(会うたびに意外性や新たな発見をすることもある)人間を、血液型という物差しで一律に断じる発想に違和感を禁じ得ません。
統計的に認められる差異の分析の多くは、「この点について、それぞれが同質とは断言できない」から始まって、その差異が何によるものかを推察するに過ぎないと理解しています。ある要素が差異を左右しているようにみえても、他の要素が複雑に絡み合っているかもしれず、簡単には結論しがたいことがしばしば。
仮に因果関係がある可能性の濃い場合でも、「〜ならば、すべて〜」(ここでは血液型○○の人はみな〜)式で片づけることができないのが普通です。
血液型を性格と結び付ける論者でも、例外を一切認めない人は少ないと思います。


人間は公式が当てはまらないところや変わり得るところが、かえって面白いのではないでしょうか。
配偶者を血液型で決める人を初めて間近で発見し、以前触れた血液型性格診断について改めて感想を記した次第です。