戦略的手抜きのすすめ

ご案内のように、マーは、いわゆる「企業戦士」からは縁遠いタイプです。
仕事のスケジュールで一杯になった手帳を誇らしげに見せてくれる人がよくいますが、自分の手帳が仮にそんな風だったら憂鬱な日々を過ごすことになりそうです(過去を振り返ってもそうですし、今なら尚更でしょう)。
ただ、納期のある仕事を放り投げて平然としていられるほど大物でもありません。
たまに納期よりも早く仕上がったときに、「あまり早く納品すると、簡単にできると思われてさらに厳しい納期で仕事を押し付けられてはたまらない」ので、仕事の注文主によってはできるだけ徐に勿体ぶって期日ぎりぎりに納品するくらいが、自分にできる、せめてもの抵抗です。


ある程度忙しい部署では、油断すると、事務分掌を変えたわけでもないのに次々に新たな仕事、それもどちらかというと枝葉末節の類が降りかかり、仕事が増えていく傾向があるように思います。
これらを入ってきた順に処理しようとすると、優先度の高い仕事が後回しやいい加減になるのは自然の流れです。
ここで知恵を働かさなければ、自分を見失ったり、絶えず未達成感を味わったり、ともすると忙しくしているのに「これもできていないのか」と叱られる羽目になって、精神衛生上よくありません。


では、どうしたらよいかという話ですが、一番手っ取り早いのは、適当に流す(ものによっては、ほとんど処理していないにもかかわらず「やったふりをする」)ものと、真面目に取り組むものとを区分けして、目の前の仕事総量を一定範囲に自らコントロールすることだと思います。
体よくいえば、「メリハリをつける」ということでしょうか。
大切なのは、他人から言われるのでなく、自分で、割り切って仕事の軽重を判断してしまうことです。
この習慣を身につければ、徐々に判断も的確になって、「どうでもいい仕事」や「やり過ごしているうちに、いつしかやらないでもよくなる仕事」を嗅ぎわけることがそれなりにできるようになるものです。
反面、メリハリもつけないで仕事が滞留しているのにパニックにもならず、いつも「私だけ忙しい」、「私だけが苦労している」とことあるごとに悲劇(?)を演じながら、どことなく楽しそうに仕事漬けの日々を過ごしている「企業戦士」もいるようです。これはこれで芸風なのかもしれません。


仕事のやり方に唯一の正解が定まるはずもありませんが、私見ながら「手抜きは必ずしも悪いことではなく、限られた時間や労力を本来業務に注ぎ込むための一種の『技』である」と新たな光を当ててもっと評価してもらいたいものだと念じています。