いわゆるお役所仕事について(その1)

国営化か民営化かの論議が喧しい郵便局の窓口で先日こんなことがありました。
わずかな積立金の受け取りに、自宅あて事前に郵送されて来た「ご案内」とそこに記されていた必要書類を携えて出向いたところ、「所定の様式に指定する方の身分証明書を添えて改めて来てください」と言われたのです。
所定の様式は窓口で初めて見ましたし、事前の「ご案内」にも書かれていません。
「ご案内どおり必要書類を携え、時間をやりくりしてせっかく来たのに、それとは別の必要書類がないと受取ができないのは納得できません」と頑張ってはみたものの、「決まりですから」の一点張り。支払う側が認めてくれない限り、従うより他ありません。
「たまには、このお金で馬鹿息子が喜びそうな物を買って帰り、父親の威厳を保とう」との企みは瓦解しました。
手続きのわかりにくさもさることながら、この押し問答の後、「改めて来るときに必要な書類や手続き」を確認するまでに都合30分。いわゆるお役所仕事の典型を見る思いがしました。
この種のことは官民を問わず散見されるようです。たとえば、銀行や旅行代理店の窓口で似たような思いをした方も少なくないことでしょう。
それでは、「お役所仕事とは何か」と考えてみると案外難しい。マーの、例によっていい加減な説は「以下のような性格を備えた、主に利用者と接する場面での、サービス精神の欠如がうかがわれる対応」くらいのものです。
(1) 利用者の気持ちとは無縁の機械的で無機質な反応
(2) 取扱いの趣旨(上の例ではなぜ所定様式以外ではダメかが長々と説明を受けても、利用者としては理解できず終い)のわかりにくさ
(3) 硬直的な姿勢(定められたこと以外のやり方は不可など)
(4) 上から目線(「〜してあげる」感覚)
(5) コスト意識のなさ(紙やハンコばかり増える)
(6) 時間意識の不足(意味なく待たせたり時間を浪費しても平気、タライ回しもその例)
(7) 手続きの複雑さ(たとえば、保険の定款など分厚くて通読する気が起きない書面の類)
(8) 前例踏襲・例外無視(過去に類例がなければ受け付けない)
(9) 現実への無関心(ルールが目の前にのケースに当てはまらないときでもルール維持
(10) 責任の分散(事務分担が細分化し、他のセクションの仕事には、責任をなるべく被らないようタッチしない)