PDCAサイクルについて(その1)

PLAN⇒DO⇒CHECK⇒ACTIONの流れからなるPDCAサイクルという言葉が流行っています。
たとえば、「PDCAサイクルに立脚した進捗管理を徹底する」(『明日の安心と成長のための緊急経済対策』(平成21年12月8日閣議決定))など政府の基本方針のような大きなものから、「ある意味で、人生の成功、不成功のカギを握るのがPDCAサイクルであると言ってもいいくらいだ」(佐藤孝治著『就活廃止論』PHP新書)などのビジネス書の類に至るまで、少し気をつければいくつも例を見つけることができます。
この言葉自体、品質管理の分野で50年以上前から使われているようで目新しくありませんが、最近どうやら切り札として重宝されているみたい。
確かに、生産ラインの効率を高める手法として、あるいは、行き当たりばったりの行動を諌める基本的な考えの一つとして、なるほどとは思います。国、自治体や企業等がコストをかけて成果をねらう場合には、周到なプランニングがカギとなり、ここがいい加減だと大変なロスが発生しかねません。
ただ、個人の生き方を含めてあらゆるケースで金科玉条とするほどの、幅広く奥行きのある発想とまでは言えない気がします。なぜなら、人間そこまで計画性(P)を持って行動するとは限らないし、反省(C)もしないからです。
何かやってみた(D)ときに、その手応えを確かめながら次に進んでいくプロセスは、集団・個人を問わず、多くの場面に当てはまると思います。PDCAがぴったり馴染むものはそれでいいとして、他の様々な場面では、DOの周辺をもっと掘り下げて、ケースごとに変化球を交えて考える方がむしろ自然ではないでしょうか。