コミュニケーション能力って一体?(その1)

先日、ある勉強会で、「経団連調査で採用時に重視する点の1位は決まって『コミュニケーション能力』だが、では「コミュニケーション能力とは何ですか」と経営者に尋ねてみると、プレゼン能力とか傾聴能力という答えが多い。でも、本当にそう思いますか?」という疑問が出されました。
発言された方の本音は、「新入社員にそんな格好いいものを求めますか?たとえば、上司が「今度出張してこういうことを調べて来てくれ」と命じたときに、「はい」とだけ答えて現地から戻り、トンチンカンな報告をするのでなく、ほんの数分、ねらいや調べる対象、具体的な聞き方などを質問して上司の真意を確かめて、地味でも確実に仕事をして帰って来る資質を期待するのであって、これができることと、人前での能弁や時間をかけて問題の本質を探るリスニング力は別次元でしょ」。ごもっともな感じです。
言葉巧みに自社製品の長所を強調したり、自己アピールができることや、人情の機微に触れた会話や折衝ができることは、(マーにはとてもできないだけに)素晴らしいことです。
しかし、これが応募者に須らく求められるべき人物要件とされたらどうでしょう。実際には、物静かであったり口下手でも、責任を持って自分の役割を果たそうとする人が、職場のかなりの部分を支えているのではないでしょうか。会社のエライ人からは見えないだけに評価されにくいかもしれませんが。
学校の授業でも、やはりプレゼン重視で「みんなの前で上手に発表する」ことが近年ますます課されているみたいです。「上手に」を「見映えよく」と理解する向きもあります。発表の中身がよくても朴訥な語りだとなかなかわかってもらえません。