想像力を働かせたい(その1)


学生時代、車を運転すると豹変する友人がいました。自分が歩行者のときは「あの車、もっと歩行者の身にもなったらどうなん」と文句を言っていた同じその人の車に同乗すると、歩行者に向かって「トロトロしてんとさっさと歩き!」とイライラするのです。傍で見ていた私はあまりの違いに思わずプフッとふきだしたのを思い出します。
昨日取り上げた新規開店の店も、お客さんの発想を意識しさえいればうまく滑り出していたはず。こだわりのラーメン店だけに「じっくり味わってもらおう」と意気込むあまり、普通の来店客の「味は百点満点でなくてもいいから手早く美味しいラーメンを食べたい」という、ちょっと落ち着いて考えれば当然思いつきそうなニーズに気づかなかったのでしょう。
マーは先日、新しく開通した副都心線を利用し渋谷駅で電車待ちをしていたのですが、どこにも椅子が見当たりません。駅員さんに尋ねてみると、広くて長いホームの一番端に申し訳程度にあるだけ。行き先によっては20分以上の待ち時間になるので、これでは体が弱い人でなくても不便です。ホームは乗降客の混雑を想定してかゆったりしており、車両も新しく快適ですが、長時間立たなければならない人に思いが至らなかったのかもしれません。