柴又帝釈天に行ってきました


「私、生まれも育ちも葛飾柴又です。帝釈天で産湯をつかい…」映画『男はつらいよ』寅さんで有名な帝釈天に昨日お参りしました。
男はつらいよ』は案外意味深い台詞に満ちており、次の一節他がかつて東京大学の入試問題に出題されたことがあるほどです(感想を書く設問)。
「寅さん、人はなぜ死ぬのでしょうねえ」「人間?そうねえ、まァ、なんて言うかな、結局あれじゃないですかね、人間が、いつまでも生きていると、陸の上がね、人間ばかりになっちゃう−−うじゃうじゃ、うじゃうじゃメンセキが決まっているから、みんなでもって、こうやって満員になって押しくらマンジュウしているうちに、足の置く場がなくなっちゃって、隅っこに居るやつが、アアなんて海の中へ、パチャンと落っこって、アップ、アップして『助けてくれ!助けてくれ!』なんてね、死んじゃう。そういうことになってるんじゃないですか、昔から。そういうことは深く考えないほうがいいですよ」
帝釈天のご本尊は日蓮聖人御親刻と伝えられ、江戸中期に一時所在不明となり、安永八年(1779)の春、本堂改修中に発見されたとのこと。
奥に、邃渓園(すいけいえん)という回廊式の名園〔写真はその一風景〕があり、雪が残っていて一段と趣がありました(法華経の説話10話を題材とした彫刻ギャラリーと併せて拝観料大人400円)。意外な発見。
説話彫刻群も、大正末期より昭和初期にかけて十数年の歳月を費しただけあって見応え十分。「病即消滅図」というありがたい作品が中にありました。
そばの矢切の渡しまで足を伸ばしましたが、邃渓園は回廊を歩きながら勢い庭園中央に視線が向くのに対して、矢切の渡しは視界を遮る物がなく、折しもやわらかい陽光が降り注ぎ、開放感も一入でした。節分で大賑わいだった前日と対照的に、お寺には静寂感が漂い、雪の名残も加わって年間何日もない味わい深いひとときを過ごすことができました。