血液型性格診断考(その2)

血液型信仰がこれほどまでに浸透したのはなぜでしょう。
一つは、「当たると面白い」から。正解の確率は1/4でゲームとしても手頃です。
次に「相手を選ばず話題にしやすい」ことがあります。仕事で年配の企業経営者とよく会う部署にいたとき、当り障りのない、しかも大概の人が盛り上がるテーマは、「ゴルフ」、「戦争」、「犬」の3つでした。日々緊張しながら会話を重ねてようやくこの結論に辿り着きました。血液型当てのように話の種として幅広く使える素材はなかなか見当たらないだけに重宝ではあります。
もう一つは、いわば挨拶の機能ではないでしょうか。血液型性格診断も使いようでは、やんわりと「あなたは◇型に代表される細やかな気配りをされる方とお見受けします」と言いながら、時には「あなたは神経質で細かくて口うるさいところもありそうですね」という率直な印象を、失礼にならずに伝えることができる便利なツールになります。
しかし、これらだけでは血液型信仰にまではなりにくい。便利さからみんなが使うようになったことに勢いを得て、このわかりやすい性格診断法を面白おかしく説明するマジシャンのような人が相次いで現れたことで、いつしか、「結構当たりますね」に過ぎなかったものが「必ず当たる」魔法に徐々に変わってきたのではないでしょうか。
血液型当てが外れて「なぜ、あなたは△型ではないんですか!」と叱られるたび、この有力な日本教の脅威を見る思いがするのです。